どうも、ひとえ(@t_football_love)です!!
2024年夏、FC東京のMF松木玖生はイングランドのサウサンプトンへ完全移籍を果たしました。しかし英国の労働許可証を取得できなかったため、1年目はトルコのギョズテペへレンタル移籍を余儀なくされました。
一方、2025年夏にJリーグ史上最高額(約10億円)でトッテナム・ホットスパーに移籍した20歳の高井幸大は、労働許可証を取得してすぐにトレーニングに合流しています。
同じ日本代表でも、なぜこれほどの差が生まれるのでしょうか?
その鍵を握るのが「GBEポイント」という制度です。
プレミアリーグで外国人選手がプレーするには、イングランドサッカー協会(FA)が定める「GBE(Governing Body Endorsement)」の取得が必要です。そして、その審査の軸となるのがGBEポイントというスコアリングシステムです。
GBEポイントは、選手の所属リーグや出場試合数、国際試合での実績などに基づいてスコア化される制度で、このポイントが一定基準を超えないと、FAの承認(GBE)が得られず、プレミアリーグでのプレーができません。
この記事では、FAが発表している公式PDFに基づき、GBEポイントの仕組みと評価基準をわかりやすく解説します。プレミアリーグを目指す選手や移籍市場を深掘りしたいサッカーファンの方は、ぜひ最後までご覧ください!
そもそもなぜ労働許可証は必要なのか?~GBEポイント制度の背景~
世界で最もハイレベルなリーグとされるプレミアリーグ。しかし、なぜ英国人以外のサッカー選手がプレーするには「労働許可証」が必要なのでしょうか?
理由はシンプルで、「自国民の雇用機会を守るため」です。
この制度はイギリス特有のもので、サッカーに限らず他業種でも英国の就労ビザ取得には厳しい基準が設けられています。「英国の経済や社会に貢献できる優秀な人材かどうか」が審査の軸であり、サッカーにもこの考え方が反映されています。
つまり、プレミアリーグでプレーするには「GBEポイント」で一定以上のスコアを獲得し、FAの承認(GBE)を受ける必要があるのです。
実際に、GBEポイントが不足して労働許可証を取得できず、プレミアリーグでのプレーが実現しなかった日本人選手も少なくありません(涙)。
【プレミアリーグ挑戦が叶わなかった日本人選手の例】
- 2001年 宮本恒靖(ウェストハム)
- 2002年 三都主アレサンドロ(チャールトン)
- 2009年 家長昭博(プリマス)
- 2012年 前田遼一(ウェストハム)
- 2024年 松木玖生(サウサンプトン)※労働許可証取得できずトルコへレンタル、2025-26シーズンよりサウサンプトン合流
次の項目では、このGBEポイントがどのような基準で評価されるのか、FAが定めた詳細なルールをもとに解説していきます。
FAが定める6つの評価項目とは?~プレミアリーグ移籍の鍵を握るGBEポイントの全容~
労働許可証を得るためにはFAの推薦(GBE)が必要です。そしてこの推薦を受けるためには、FAが指定する以下の6つの評価項目で合計15ポイント以上を獲得しなければなりません。
- 代表での出場割合
- 国内リーグでの出場割合
- クラブでの大陸選手権出場割合
- 前年度クラブのリーグ順位
- 前年度クラブの大陸選手権順位
- 現所属クラブのリーグレベル
このGBEポイント制度の背景には、「優秀な外国人選手は英国フットボール界に利益をもたらす」という考え方があり、強豪国・強豪リーグ出身の選手を優遇する仕組みになっています。
では、項目ごとに詳しく見ていきましょう。
① 代表での出場実績に基づくGBEポイント
FAは代表での国際試合出場割合によってポイントを付与しますが、付与されるポイントは国の世界ランキング(対象期間のFIFAランキングを平均化したもの:12か月または24か月)によって傾斜がつけられています。
| 国際試合出場割合 | FIFA 1〜10位 | FIFA 11〜20位 | FIFA 21〜30位 | FIFA 31〜50位 | FIFA 51位以降 |
|---|---|---|---|---|---|
| 90〜100% | Auto Pass | Auto Pass | Auto Pass | Auto Pass | 18 |
| 80〜89% | Auto Pass | Auto Pass | Auto Pass | Auto Pass | 0 |
| 70〜79% | Auto Pass | Auto Pass | Auto Pass | 10 | 0 |
| 60〜69% | Auto Pass | Auto Pass | Auto Pass | 8 | 0 |
| 50〜59% | Auto Pass | Auto Pass | 10 | 7 | 0 |
| 40〜49% | Auto Pass | Auto Pass | 9 | 6 | 0 |
| 30〜39% | Auto Pass | 10 | 8 | 0 | 0 |
| 20〜29% | 10 | 9 | 7 | 0 | 0 |
| 10〜19% | 9 | 8 | 0 | 0 | 0 |
| 1〜9% | 8 | 7 | 0 | 0 | 0 |
すべての試合が対象になるわけではなく、以下の公式大会が対象です。
- FIFAワールドカップ本戦および予選
- UEFA欧州選手権とその予選
- UEFAネーションズリーグ
- CAFアフリカネーションズカップとその予選
- AFCアジアカップとその予選
- CONCACAFゴールドカップ
- CONCACAFネーションズリーグ
- CONMEBOL&UEFAファイナルシマ
- CONMEBOLコパ・アメリカ
- OFCネーションズカップ
キリンチャレンジカップなどの国際親善試合はカウントされません。ガチの公式戦に出場できているガチの選手だけを評価するスタンスです。
表からわかる通り、FIFAランキング50位以内の国の選手であれば、2年間スタメン〜準レギュラーを維持できれば自動的に15ポイント以上が付与され、問題なくプレミアリーグに移籍することができます。
2026年2月時点の日本のFIFAランキングは19位です(2025年12月発表)。つまり日本代表の「スーパーサブ的な位置づけ」の選手では、代表ポイントだけで直接プレミアリーグに移籍することはできません。
実際の事例として、三笘選手は契約時点で15ポイントに満たなかったため、ベルギー(Band2)のユニオン・サン=ジロワーズで経験を積んだのちにブライトンへと移籍しました。
結果的にベルギーリーグで海外の環境に慣れることができ、ブライトンでの活躍につながったとも言えます。しかし、代表で頭角を現した日本人選手にとって、勢いそのままにプレミアリーグへ移籍することは非常にハードルが高いのです。
では「Jリーグでコンスタントに活躍していればよいか?」というと、そうでもないのがFAの厳しいところ。次のセクションでクラブ関連の評価項目を解説します。
② クラブ関連のGBEポイント~所属リーグのBand分けとポイント傾斜~
世界のリーグは6つのBandに分類されている
FAは世界中のリーグを6つのBandに分類しており、レベルの高いリーグほど出場割合や成績に応じて得られるポイントが多くなります。
Band 1
- イングランド・プレミアリーグ
- ブンデスリーガ(ドイツ)
- リーガ・エスパニョーラ(スペイン)
- セリエA(イタリア)
- リーグ・アン(フランス)
Band 2
- プリメイラ・リーガ(ポルトガル)
- エールディビジ(オランダ)
- ベルギー1部A
- トルコ・スーパーリーグ
- イングランド・チャンピオンシップ(2部)
Band 3
- メジャーリーグサッカー(アメリカ)
- ブラジレイロ・セリエA(ブラジル)
- プリメーラ・ディビシオン(アルゼンチン)
- リーガMX(メキシコ)
- スコティッシュ・プレミアシップ(スコットランド)
Band 4
- チェコ1部 / クロアチア1部 / スイス1部 / ウクライナ1部 / ギリシャ1部
- コロンビア1部 / オーストラリア1部 / デンマーク1部 / ロシア1部
- リーガ・エスパニョーラ2部 / ブンデスリーガ2部 / フランス2部
Band 5
- セルビア1部 / ポーランド1部 / スロベニア1部
- チリ1部 / ウルグアイ1部
- スウェーデン1部 / ノルウェー1部 / ハンガリー1部
- 日本1部(Jリーグ)/ 韓国1部
- イタリア2部
Band 6
- Band 1〜5以外のリーグ
悲しきかな、JリーグはBand 5です。ただし、2023年にBand 6から昇格しており、日本サッカーの評価は着実に上がっています。
ちなみに、イングランドのチャンピオンシップ(2部)をBand 2にしている点は「自国優遇では?」とも感じますが、確かに世界で最も競争力のある2部リーグであることは間違いないでしょう(笑)。
所属リーグのBandに応じたベースポイント
| 所属リーグ | ポイント |
|---|---|
| Band 1 | 12 |
| Band 2 | 10 |
| Band 3 | 8 |
| Band 4 | 6 |
| Band 5 | 4 |
| Band 6 | 2 |
※レンタル選手の場合は、レンタル先・レンタル元のうち高い方のポイントが適用されます。
リーグ出場割合に応じたポイント
| リーグ出場割合 | Band1 | Band2 | Band3 | Band4 | Band5 | Band6 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 90〜100% | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 2 |
| 80〜89% | 11 | 9 | 7 | 5 | 3 | 1 |
| 70〜79% | 10 | 8 | 6 | 4 | 2 | 0 |
| 60〜69% | 9 | 7 | 5 | 3 | 1 | 0 |
| 50〜59% | 8 | 6 | 4 | 2 | 0 | 0 |
| 40〜49% | 7 | 5 | 3 | 1 | 0 | 0 |
| 30〜39% | 6 | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 |
| 20〜29% | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 10〜19% | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 1〜9% | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| ユース選手 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
大陸大会のBand分けと出場割合ポイント
大陸大会も以下のようにBand分けされています。
- Band 1:UEFAチャンピオンズリーグ / コパ・リベルタドーレス(南米)
- Band 2:UEFAヨーロッパリーグ / コパ・スダメリカーナ(南米)
- Band 3:上記以外の大陸大会
| 大陸選手権出場割合 | Band1 | Band2 | Band3 |
|---|---|---|---|
| 90〜100% | 10 | 5 | 2 |
| 80〜89% | 9 | 4 | 1 |
| 70〜79% | 8 | 3 | 0 |
| 60〜69% | 7 | 2 | 0 |
| 50〜59% | 6 | 1 | 0 |
| 40〜49% | 5 | 0 | 0 |
| 30〜39% | 4 | 0 | 0 |
| 20〜29% | 0 | 0 | 0 |
| 10〜19% | 0 | 0 | 0 |
| 1〜9% | 0 | 0 | 0 |
前シーズンのクラブ成績に応じたポイント
| リーグ最終順位 | Band1 | Band2 | Band3 | Band4 | Band5 | Band6 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 優勝 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
| Band1大陸選手権グループステージ出場権獲得 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| Band1大陸選手権予選出場権獲得 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 |
| Band2大陸選手権グループステージ出場権獲得 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 |
| Band2大陸選手権予選出場権獲得 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 中位 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 降格 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 昇格 | -1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
| 大陸選手権の成績 | Band1 | Band2 | Band3 |
|---|---|---|---|
| 決勝 | 10 | 7 | 2 |
| ベスト4 | 9 | 6 | 1 |
| ベスト8 | 8 | 5 | 0 |
| ベスト16 | 7 | 4 | 0 |
| ベスト32 | 6 | 3 | 0 |
| グループステージ | 5 | 2 | 0 |
| その他 | 0 | 0 | 0 |
Jリーグにいる限り最大12ポイントしか稼げない現実
表を見てわかる通り、FAは欧州・南米のサッカーを圧倒的に優遇しています。
Jリーグ(Band 5)でリーグ戦をフル出場しても8ポイントにとどまり、リーグ優勝+ACL優勝を果たしても最大12ポイントにしかなりません。15ポイントの基準には届かないのです。
一方、ベルギーリーグ(Band 2)では、順位関係なくフル出場で20ポイント、50%出場でも16ポイント獲得できます。リーグ戦に出場できれば、それだけでプレミアリーグ挑戦の切符が手に入ります。
代表での実績がなかった橋岡大樹選手がプレミアリーグ(ルートン→ブレントフォード)に移籍できたのは、ベルギー・シントトロイデンでの出場実績があったからこそです。
【2023年改定】ESC枠の導入とJリーグのBand昇格で何が変わった?
2023年6月、FAはGBEポイント制度に関して2つの大きな改定を実施しました。
変更点① 資格外選手枠(ESC枠)の新設
最大の変更点は「ESC(Elite Significant Contribution)枠」の導入です。
GBEポイントの基準を満たさない選手でも、各クラブが最大4人まで獲得できる「資格外選手枠」です。この枠を使う場合、「ESC委員会」がその選手の才能・貢献度を個別審査して認定します。
適用には「FIFAランキング50位以内の代表チームでA代表試合に1試合以上出場していること」などの条件がありますが、これにより「GBEポイントは足りないが特別に優秀な選手」をクラブが獲得できる抜け道が生まれました。
変更点② JリーグのBand6→Band5への昇格
2023年からJリーグがBand 6からBand 5へ昇格されました。
これによりJリーグ所属選手が得られるリーグ所属ポイントが2点から4点に増加し、リーグ出場割合に応じたポイントも引き上げられました(90〜100%出場で最大8点)。
ただし、Band 5のJリーグだけではリーグ優勝・全試合出場でも最大12点にとどまるため、単独で15点の基準を達成することは依然として不可能です。この改定はあくまで「ヨーロッパのBand 2経由が有利」という構造を変えるものではありませんが、日本サッカーの評価が世界的に上がっている証拠と言えるでしょう。
最近の日本人選手事例~松木玖生と高井幸大のケースから学ぶ~
2023年の改定後も、GBEポイントが日本人選手の行く手を阻む場面は続いています。
松木玖生(サウサンプトン)
2024年夏にFC東京からサウサンプトンへ完全移籍(4年契約)したMF松木玖生は、労働許可証を取得できなかったため1年目はトルコ1部のギョズテペへレンタル移籍を余儀なくされました。2025-26シーズンからはサウサンプトンに合流し、出場機会を得ています。なお、サウサンプトンは2024-25シーズンにプレミアリーグから降格しており、松木はチャンピオンシップ(Band 2)でのプレーとなっています。
高井幸大(トッテナム→ボルシアMG)
2025年夏に川崎フロンターレからトッテナム・ホットスパーへJリーグ史上最高額約10億円で移籍した20歳の高井幸大は、労働許可証を比較的スムーズに取得してトレーニングに合流しました。しかしその後、出場機会を求めてドイツ・ブンデスリーガのボルシアMGへローン移籍となっています。
同じ日本人選手でも、代表キャップ数・所属リーグのBand・クラブへの貢献度の差がGBEポイントの明暗を分けることが、この2つの事例からもよくわかります。
まとめ~日本人選手がプレミアリーグに挑戦するための最短ルートとは?
ここまで、外国人選手がプレミアリーグへ移籍するために必要な「GBEポイント制度」の全貌を解説してきました。
調べてみて改めて感じるのは、ポイントの獲得ルートが多様で、うまく戦略を立てればアジア人選手にもチャンスがある点です。ただし、アジア出身の選手が直接プレミアリーグへ移籍するのは依然としてハードルが高いのも現実です。
特に日本人選手にとっては、代表での実績が重要な鍵を握ります。しかし、古橋亨梧選手のようにクラブで素晴らしい成績を残しても、代表に定着していなければGBEポイントを稼ぎきれないというケースもあります。
若手選手にとっての最短ルートは、まずBand 2のリーグ(ベルギー・オランダ・ポルトガル・トルコなど)で実績を積むことです。ここでリーグ戦に出場し続けることで、プレミアリーグへの道が開けます。
2026年2月現在、三苫選手や遠藤選手といった日本代表選手がプレミアリーグで奮闘中ですが、ブンデスリーガと比べるとまだまだ日本人の定着率は高くありません。
私自身の勝手な夢として「日本代表のワールドカップ優勝」を一生のうちに見たいというモノがあります。そのためにも、若く才能ある選手たちには、まずはBand2リーグを経由してでも、プレミアリーグ挑戦を目指してほしいところです。
今後も、ベルギーリーグさん、オランダリーグさん、よろしくお願いしますよ!!
わーわー言うとります!お時間です!さようなら!



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