まいど、ひとえです。
Jリーグがなぜ税リーグと呼ばれているのか?という理由を建設費の観点でまとめた以下の記事を作成しましたが、スタジアムは建てた後は運営・管理する必要があります。
スタジアムを建てるのに税金を使ったので、その後のスタジアムの運営・管理はクラブの負担だけで行われていると期待されている方もいらっしゃるかと思いますが、指定管理料という項目で税金の援助を受けているクラブが多いのが実情なんです…。
というわけで、今回は2024シーズンのJ1所属クラブの指定管理料についてネットで調べて、まとめてみましたので、J1クラブのスタジアム運営にどれだけ税金が使用されているか気になる方はぜひご覧ください!
そもそも指定管理料とは?
指定管理料とは地方公共団体が公の施設(社会福祉施設、文化施設、スポーツ施設、公園施設など)の管理を指定した者(指定管理者)に支払う委託料のことを指します。この指定管理者制度は、民間事業者の能力を活用することで住民へのサービス向上や管理コストの削減を目的に導入されているそうです。(参考ページ:神奈川県の指定管理制度の説明)
各スタジアムの所有者と指定管理者は以下の通りです。
クラブ名 | スタジアム名 (正式名称) | 所有者 | 指定管理者 |
---|---|---|---|
町田セルビア | 町田GIONスタジアム (町田市立陸上競技場) | 町田市 | スポーツパークパートナーズまちだ |
鹿島アントラーズ | カシマサッカースタジアム (茨城県立カシマサッカースタジアム) | 茨城県 | 株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー |
サンフレッチェ広島 | エディオンピースウイング広島 (広島サッカースタジアム) | 広島市 | サンフレッチェ広島 |
ガンバ大阪 | Panasonic Stadium Suita (市立吹田サッカースタジアム) | 吹田市 | 株式会社ガンバ大阪 |
ヴィッセル神戸 | ノエビアスタジアム神戸 (御崎公園球技場) | 神戸市 | 楽天ヴィッセル神戸 |
セレッソ大阪 | ヨドコウ桜スタジアム (長居球技場) | 大阪市 | 一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ |
アビスパ福岡 | ベスト電器スタジアム (東平尾公園博多の森球技場) | 福岡市 | 公益財団法人 福岡市緑のまちづくり協会 |
FC東京 東京ヴェルディ1969 | 味の素スタジアム (東京スタジアム) | 東京都 | 株式会社東京スタジアム |
横浜F・マリノス | 日産スタジアム (横浜国際総合競技場) | 横浜市 | 横浜市スポーツ協会・F・マリノススポーツクラブ・管理JV共同事業体 |
川崎フロンターレ | Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu (等々力陸上競技場) | 川崎市 | 川崎とどろきパーク株式会社 |
浦和レッズ | 埼玉スタジアム2002 | 埼玉県 | 埼玉スタジアム2002公園マネジメントネットワーク |
名古屋グランパスエイト | 豊田スタジアム | 豊田市 | 株式会社豊田スタジアム |
アルビレックス新潟 | デンカビッグスワンスタジアム (新潟スタジアム) | 新潟県 | アルビレックス新潟・都市緑花センターグループ |
柏レイソル | 三協フロンテア柏スタジアム (日立柏総合グラウンドサッカー場) | 株式会社日立柏レイソル | 株式会社日立柏レイソル |
京都サンガF.C. | サンガスタジアム by KYOCERA (京都府立京都スタジアム) | 京都府 | 合同会社ビバ&サンガ |
湘南ベルマーレ | レモンガススタジアム平塚 (平塚競技場) | 平塚市 | 平塚市が運営管理 |
ジュビロ磐田 | ヤマハスタジアム | ヤマハ発動機 | ヤマハ発動機 |
サガン鳥栖 | 鳥栖スタジアム (駅前不動産スタジアム) | 鳥栖市 | 鳥栖市が運営管理 |
コンサドーレ札幌 | 札幌ドーム | 札幌市 | 株式会社札幌ドーム |
というわけで、柏レイソルのみが唯一スタジアムをクラブで所有・運営していて、ジュビロ磐田はスポンサーのヤマハ発動機が所有・運営している状況。
そして湘南ベルマーレとサガン鳥栖は完璧に市からスタジアムを借りている状況で、その他のクラブは行政からクラブもしくは関連会社が指定管理者として指名されていました。
どのくらい指定管理料が支払われているのか?という疑問が沸いたので調査してみました。
指定管理料の金額について
ネットで行政がどれだけ指定管理料を支払っているか各行政のHPを調査してみたのですが、超検索難易度が高く、すべての最新情報を仕入れることができませんでした…。というわけで、最新情報ではないものの、各スタジアムの指定管理料について記載あるURLを探し出し、まとめてみたのが以下の表です。
クラブ名 | 委託料収入(千円) | 年度 |
---|---|---|
名古屋グランパスエイト | 749,111 | 2022年 |
横浜F・マリノス | 635,886 | 2022年 |
アビスパ福岡 | 579,850 | 2024年 |
アルビレックス新潟 | 511,374 | 2023年 |
サンフレッチェ広島 | 499,000 | 9年3か月の総額 |
浦和レッズ | 304,850 | 2023年 |
FC東京 東京ヴェルディ1969 | 244,378 | 2023年 |
川崎フロンターレ | 244,088 | 2022年 |
町田セルビア | 220,883 | 2022年 |
ヴィッセル神戸 | 220,000 | 2020年 |
京都サンガF.C. | 81,000 | 2022年 |
鹿島アントラーズ | 0 | 2023年 |
ガンバ大阪 | 0 | 2022年 |
セレッソ大阪 | 0 | 2022年 |
コンサドーレ札幌 | 0 | 2023年 |
最新情報ではなく恐縮ですが、年間数億の指定管理料をクラブ(もしくは関連企業)に支払っていることがわかります…。そしてこの指定管理料は収益として計上することができます。例として、以下のテーブルは埼玉スタジアム2002公園の管理費内訳及び収入実績ですが、委託料収入として指定管理料が計上されています。そして指定管理料を計上してなお、赤字となっているのも注目に値しますね…涙。
指定管理料がどのようなプロセスを経て決まっているかはわからなかったのですが、日韓ワールドカップのときにできたスタジアムは年間数億ぐらいかかっていて、最近できた京都や広島のスタジアムは年間1億いかないぐらいの指定管理料と低めにしようとしている感じでした。
またコンサドーレ札幌は第三セクター方式で出資している株式会社札幌ドームが運営・管理しているのでシチュエーションが異なりますが、鹿島アントラーズ、ガンバ大阪、セレッソ大阪は指定管理料は0です。ただ、あくまでも指定管理料が0なだけであり、スタジアムの修繕費は行政が負担しているケースがほとんどで、自前だけでスタジアム運営できているとは言えないと思います…。
そもそも、サッカーのスタジアムはサッカーの試合以外での使用方法があまりなく、稼働率の低い割に芝などの維持管理費は高くつくことが問題視されています。
というわけで、スタジアム運営側もなんとかサッカー以外に使用してもらうべく、会議室やコンコースを貸出して、ヨガ教室やスポーツ教室などを開催したり、エディオンピースウイング広島は結婚式の会場として貸し出したりなど、あの手この手で収益を増やそうとしていますが、税金を前提とした運営がされているというのが現実のようです…。
最後に
J1に所属しているクラブのスタジアム運営に支払われている指定管理料という名の税金についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか?
こういうまとめ方をすると日本だけがサッカースタジアムに税金を使っている印象を持たれるかもしれませんが、経済産業省が発表している以下のスライドによると、欧米スタジアムもスタジアムだけでみたらほとんど赤字みたいです…。
維持コストの観点からスタジアムだけで黒字を目指すのではなく、スタジアム周辺地域の産業活性化(プロフィットセンター化とも言うらしい)も加味してスタジアムの在り方を考える必要があるようです。そこで、経済産業省は以下のような改革案を発表しています。
マインドチェンジと官民連携の必要性を訴えているものの、2024年におけるJリーグの全カテゴリーのクラブ数は60!!ベネフィットセンターとなることができるクラブは一体いくつあるのでしょうか…?
ここから日本の人口が爆発的に増える未来も想像しがたいですし、サッカー人口が爆発的に増える未来も地上波でサッカーが見れなくなっている現状からすると難しいことを考えると、どのような打ち手があるんだろうか…。頭の良い方、だれか考えてください…。
わーわー言うとります!お時間です!さようなら!
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