【徹底解説】サッカー戦術のトレンド遷移について

【徹底解説】 サッカー戦術のトレンド遷移について

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まいど、ひとえです!

今回はサッカーの戦術のトレンドがどのように遷移していったのか?ということを年代別にまとめてみました!

昔から、ほぼ同じルールで行われてきているサッカーにおいて、戦術の流行り廃りなんて存在するのか?と疑問に思われた方もいるかもしれません!

しかし、意外に思われるかもしれませんが、私がサッカーを始めた1990年代後半には、「ゲーゲンプレス」や「偽サイドバック」といった今では耳なじみのある戦術は全然主流ではなかったのです…。IT技術等と一緒でサッカーの戦術も目まぐるしく進化しているわけです。

ということで、今回は年代別にサッカー戦術のトレンドがどのように変化していったのか?というのを解説していきます!皆様のサッカー知識の向上の一助になれば幸いです!

目次

1970年代 トータルフットボール

1970年代のサッカーは、トータルフットボールと呼ばれる新しい戦術が流行しました。個人的に今日のサッカーのベースになっていると思っているトータルフットボールという戦術は、選手全員が攻守に参加し、ボールを保持することによって相手を圧倒するスタイルを指します

皆で守って、皆で攻めるなんて当たり前では!?と思う方もいるかもしれませんが、トータルフットボールという考え方が出てくる以前は、攻守は分業されており、フォーメーションも基本的に2-3-5といった攻撃的で物理的な戦術がほとんどだったそうです。

しかし、トータルフットボールは皆でサッカーの攻守を行うことにより、数的優位な状況を場面場面で作り出せるわけですから、試合を優位に進めることができます。しかし、このトータルフットボールを行うためには、選手一人一人が同じくらい高い技術と戦術眼を併せ持ち、なおかつ、かなりのスタミナが必要となるため、なかなか実現できるチームは出てきませんでした。

しかし、1970年代にトータルフットボールを実現するチームが現れます。それが1974年のワールドカップで準優勝の成績を収めたオランダ代表です。

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当時のオランダ代表は戦術としてトータルフットボールを採用し、大会屈指の印象的なチームとなりました。ヨハン・クライフ率いるオランダ代表の連携プレーは対戦相手を圧倒し、14得点1失点という驚異的な成績で決勝に進出しました。決勝で西ドイツに勝利していたら完璧だったのですが、それは2024年1月7日に亡くなられた皇帝ベッケンバウアーに阻まれてしまいました…。流石皇帝といったところですかね…。

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しかし、このオランダ代表の躍進はフットボール界に大きな影響を与えており、今では美しいサッカーをするチームの代名詞となっているバルセロナも、この時期からトータルフットボールをクラブの哲学としました。そして、バルセロナの選手として活躍したクライフが監督して帰還し、トータルフットボールを展開することで、バルセロナに初のチャンピオンズリーグのタイトルをもたらしたことは出来すぎた物語です。

トータルフットボールは、ボールポゼッションと集団プレスを組み合わせた独自のサッカー哲学であり、これによって相手陣地でのボール支配と守備の強度を両立させました。この時代のサッカーは、芸術的で技巧的なプレーと、チーム全体の連携に焦点を当て、攻撃的なプレースタイルが根付く契機となりました。

「美しく勝利せよ」に代表される標語でフットボールに革命をもたらしたクライフの名言はたくさんありますが、その中でも私が一番好きな言葉を最後に紹介します。

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私のチームでは、ゴールキーパーがファースト・アタッカーで、ストライカーがファースト・ディフェンダーだ

ヨハン・クライフ

1980年代 カテナチオ

トータルフットボールという考えがサッカー界に浸透した後の1980年代のサッカーは、魅力的な攻撃的なサッカーよりも守備的な戦術、特にカウンターアタックが重要視される時代になり、イタリアの代表的な戦術となった「カテナチオ」と呼ばれる堅守速攻スタイルが流行りました。

ちなみにカテナチオはイタリア語で「かんぬき」という意味で、鍵をかけたように守備が堅いという意味で使用されています。

カテナチオでは、堅い守備陣が相手の攻撃を防ぎ、ボールを奪った後に速攻で相手陣地に侵入することが重要視されました。ACミランがこの戦術を成功させ、1988年にはチャンピオンズリーグを制しました。

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フォーメーションとしては、4-4-2が主流であり、中盤での激しい争奪戦が特徴でした。選手たちは身体的なプレーに対応するために強化され、個々のポジショニングと守備の組織が強調されました。

国際舞台では、1982年のワールドカップでイタリアがホスト国として優勝し、カテナチオ、守備的な戦術が成功を収めました。一方で、1986年のワールドカップではアルゼンチンがディエゴ・マラドーナの活躍で優勝し、個々の才能が光る瞬間も見られました。守備全盛期の時代を個人技で切り裂いたマラドーナの偉大さを痛感しますね。

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僕がやったドーピングは努力だけだ。

ディエゴ・マラドーナ

1990年代 カウンターアタック→ポゼッションサッカーへ

1990年代のサッカーは、1980年代からの流れのまま、4-4-2が主流で、守備の堅さやチーム全体の組織が重要視され、カウンターアタックが重視されつつも、ポゼッションフットボールも徐々に台頭してきた時代でした。

1990年代初頭には、80年代の流れそのままに、セリエAのクラブが守備的な戦術で成功を収め、堅固な守備と的確なカウンターアタックが注目されました。ACミランやユヴェントスといったイタリアのクラブが全盛期であり、90年代前半のサッカーの中心は間違いなくイタリアでした。

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しかし、2020年代最高のリーグといって過言でないプレミアリーグもこの時期から徐々に台頭しはじめて、マンチェスター・ユナイテッドやアーセナルがリーグ戦で活躍し、4-4-2のフォーメーションをベースにした守備的な戦術が奏功しました。

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守備的な戦術が流行していたものの、1990年代中盤には、チーム全体の組織とボール支配が重要視されるようになり、ポゼッションフットボールが台頭。バルセロナやアヤックスなどが、ボールを保持して相手を押し込むスタイルを確立し、ヨハン・クライフの哲学が再び注目を浴びました。

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2000年代 ティキ・タカ

2000年代のサッカーは、バルセロナのティキ・タカが一世を風靡し、ボールポゼッションとテクニカルなスキルが重視されました。この時代は、攻撃的で美しいサッカーが求められ、個々の選手が高度な技術を持つことが求められることになります。

ちなみにティキ・タカは、ショートパスをつなぎ、複数のパスコースを確保しつつオフ・ザ・ボールにおける選手の動きによってゴールへの道筋を作るプレースタイルを指す言葉ですが、ティキ・タカという言葉の由来は所説あるみたいです。

バルセロナは2008年から2012年にかけて、ペップ・グアルディオラ監督の下で驚異的な成功を収めます。これまでは、フィジカルコンタクトで勝てる肉体的な強さが求められていましたが、タイキ・タカはボールを保持し、緻密なパスワークと運動量の多いプレスによって相手を圧倒します。リオネル・メッシ、アンドレス・イニエスタ、シャビ・エルナンデスといった肉体の強さはないが、ボールを扱う技術にたけた選手たちが中心となり、UEFAチャンピオンズリーグなどで成功を収めます。

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バルセロナの勢いは国際舞台でも無双し、スペイン代表が2010年にワールドカップ、2012年にはUEFA EUROを制覇、タイキ・タカの哲学が国際舞台で成功を収めました。スペイン代表はボールポゼッションと優れたパスワークを駆使し、個々の選手が多彩な役割を果たしており、スペインは国際部隊で弱いというイメージを払拭することに成功しました。

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余談ですが、ティキ・タカの申し子のはずであるペップは、ティキ・タカに対して、以下のようなコメントを残しています。目的と手段をはき違えてはいけませんね…。

私はパスワークを目的とするすべてのプレーを嫌う。ティキ・タカのことだ。そんなものはゴミで、何の意味もない。相手ゴールに迫ることを目的として、明確なパスを出さなければならない。パスワークのためにパスを繋ぐのではない

ペップ・グアルディオラ

2010年代 ゲーゲンプレス

2010年代のサッカーは、バルセロナやスペイン代表の成功が続き、ポゼッションサッカーが流行っていたものの、ゲーゲンプレスという新たなトレンドも流行りました。

ゲーゲンプレスは、相手陣地でボール奪取を重視する戦術で、ドイツのユルゲン・クロップやトーマス・トゥヘルなどが成功を収めました。高いプレスによる集団的な守備からの速攻が注目され、これが多くのクラブや代表チームに波及しました。

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組織的なサッカーが求められるようになった結果、個々の選手に対する要求が高まり、特定のポジションに縛られないユーティリティプレーヤーの需要が増加しました。キミッヒやミルナーが有名どころですが、複数のポジションをこなし、戦術の変化に柔軟に対応できる選手が重宝される時代になりました。

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ゲーゲンプレスを有名にさせたクロップは、ゲーゲンプレスの有意性を以下のように説明しています。

ゲーゲンプレッシングは、ゴールに近いところでボールを奪い返すことができる。たった1本のパスで本当にいいチャンスになるんだ。世界中のどんなプレーメーカーも、良いゲーゲンプレッシングの状況にはかなわない。それがとても重要な理由だ

ユルゲン・クロップ

まぁ言うは易く行うは難しで、この戦術をチーム戦術にするには、ボールを持った相手のパスの選択肢を閉ざし、前線からのプレスをサポートするために、チーム全体が正しいポジションを取らなければならないので、個々の選手の高い戦術理解が求められます。

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選手一人ひとりのレベルが上がっていることもあるかと思いますが、テクノロジーの進化が選手の戦術理解の一助になっているはずで、このぐらいの時からベンチのスタッフがIT機器を駆使して選手に指示を出している様子が当たり前になった気がします。

2020年代 変幻自在なフォーメーション

そして現在の2020年代のサッカーは、ティキ・タカやゲーゲンプレスといった戦術も使用しながらも、変幻自在なフォーメーションや戦術の柔軟性が増加しており、攻守の融合が更に進みました。

この可変的なフォーメーションを流行らしたのは、ティキ・タカを流行らしたペップであり、新しいトレンドはこの人から生まれているといっても過言ではないかもしれません(笑)

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トータルフットボールという概念が出てきてから、全員守備の全員攻撃という考えは当たり前となりつつありましたが、フォーメーションは試合中に固定であることが多かったです。

しかし、ペップが生み出した「偽サイドバック」や「偽センターバック」といった戦術は、チーム状況や相手に応じて、サイドバックやセンターバックの選手が中盤に入ることで、守備の時は4-3-3、攻撃の時は3-4-3になるといった感じで即座にフォーメーションを変更します。これにより、相手を混乱させつつ、柔軟で効果的な戦術が展開することが可能となりました。

私も試合を見ていて、「え?なんであなたがここに!?」というシーンが本当に増えました…。

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可変的な戦術が増えたことにより、選手の多様なポジショニングやマルチポジションが一般的になってしまったため、特定のポジションにとらわれない選手を求める傾向が強くなりました。これにより、戦術の自由度が向上し、チームは柔軟かつ多様な戦術を展開できるようになりました。

このような傾向より、昔のサッカーの醍醐味であった「ファンタジスタ」という概念は失われつつあります。守備は全くしないし、サボりがちだけど、いざボールを持ったら観客を沸かすようなプレーを魅せていたファンタジスタたちも、今のサッカーでは泥臭く走ることが求められてしまいます…

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現代のサッカーはスピード感が以前よりもあって、見ていて楽しいところもありますが、「ファンタジスタ」という夢は失われてしまったのかもしれません…

最後に

というわけで、年代別にサッカーの戦術トレンドをまとめてみました。それぞれ簡単にまとめると以下の通りです。

  • 1970年代 トータルフットボールが流行。オランダ代表やバルセロナが採用し、ボールポゼッションと集団プレスが主流。
  • 1980年代 カウンターアタックが注目され、カテナチオが流行。イタリアやイングランドが守備的な戦術を展開。コンパクトな守備陣が特徴。
  • 1990年代 カウンターアタックからポジションサッカーへの過渡期。
  • 2000年代 バルセロナのタイキ・タカが流行。ボールを保持し、パス回数を重ねながら相手を圧倒。ポゼッションサッカーが広がる。
  • 2010年代 ゲーゲンプレスが流行。クロップ率いるドルトムントが成功を収め、ボール奪取後の速攻が注目された。
  • 2020年代 ペップによって変幻自在なフォーメーションが増加。攻守の融合とポジショニングの柔軟性が求められ、個々の選手が複数のポジションをこなす傾向。

年代ごとにみると、ここ20年近くは攻撃的なサッカーが流行り続けていると感じました。昔と比べて、サッカーがはビジネス規模も大きくなっている中で行くと、1-0ばっかりの玄人の向けの試合よりも、攻撃的で派手な試合のほうが大衆受けもよいので、この傾向は今後も続くのではないか?と勝手に予想します。個人的には1-0の試合でもしびれるものはあると思いますけどね…(笑)。

そして攻撃しかしません!守備しかしません!といったスペシャリストたちの居場所がどんどんなくなってきていることも時代の流れを感じます。

やはり時代はスペシャリストよりもジェネラリストなんでしょうか?自分の今後のキャリアも考えさせられてしまいました…。

わーわー言うとりますが、お時間です。さようなら。

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