2024年5月16日に2-0で勝利したアルメリア戦前の会見で、チャビ監督が以下のようにコメントしました。
「クレ(バルセロナファン)は、経済的にスペインでレアル・マドリー、ヨーロッパで他クラブと競争するには状況が非常に複雑であることを理解する必要がある」
ラ・リーガを26回も優勝し、チャンピオンズリーグも歴代で5回制覇し、レアル・マドリーとしのぎを削ってきたスペインの名門であるバルセロナ。そんな超ビッククラブであるはずのバルセロナが上記のような借金地獄に陥ってしまったのでしょうか?
今回はバルセロナがチャビ監督の言葉を借りると「経済的に状況が非常に複雑」になってしまった理由をいろいろ調べて簡単にまとめてみましたので、ビッククラブが借金地獄に陥ってしまうまでの過程が気になる方はぜひご覧ください!!
現在のバルセロナの借金の総額について
バルセロナの負債状況はいろいろ報道されておりますが、2021年6月時点では約1900億円という天文学的な数字の負債を抱えていると言われておりました。ちなみに負債の内訳は以下の通りです。
- 銀行融資:45%
- 選手の給与未払い:30%
- 移籍金の未払い:25%
まぁ金額が金額なのでどの項目もやばいのですが、特に目を引くのは選手の給与未払いと移籍金未払いの項目。23年秋に報道されているニュースによると、22-23シーズンの利益は480億円越えとの報道もありますが、これは自クラブの25年分の放映権の25%やクラブの施設資産を売却といった、未来を切り売りして捻出している利益とも言えます(涙)。
なぜ、バルセロナは自クラブの未来の財産を売らないといけない状態にまで負債が膨らんでしまったのかという原因を解説していきたいと思います!
原因① 選手の売買がめちゃくちゃ下手
もともと選手の売買が得意なクラブではなかったのですが、14年にバルセロナの会長に就任したバルトメウ時代から劇的に下手になっている印象があります。こちらは14シーズンから23シーズンまでの収支をまとめた表です。
シーズン | 収入(m€) | 出費(m€) | 収支合計(m€) |
---|---|---|---|
23/24 | 107 | 43 | 64 |
22/23 | 40 | 158 | -119 |
21/22 | 71 | 70 | 1 |
20/21 | 154 | 112 | 42 |
19/20 | 154 | 304 | -150 |
18/19 | 146 | 141 | 5 |
17/18 | 233 | 375 | -143 |
16/17 | 34 | 125 | -91 |
15/16 | 38 | 51 | -13 |
14/15 | 82 | 167 | -85 |
合計 | 1059 | 1545 | -487 |
ご覧になってわかる通り、過去10年間で約500m€(1€=150円だとすると約730億円)の赤字を記録しております…。調べていて衝撃だったのはネイマールを222m€でパリ・サンジェルマンに売却できたのにも関わらず、要るか要らないか微妙なラインだったコウチーニョとデンベレをそれぞれ135m€で購入するなどして、しっかり約140m€の赤字を記録。
また、上記の通り、財務状況を改善しないといけない状況だったのにも関わらず、未来を切り売りすることによって、22/23シーズンには135m€で購入したコウチーニョを20m€で売却しただけでもセンセーショナルですが、ハフィーニャに58m€、グンデに50m€、レヴァンドフスキに45m€と湯水のように使用しております…。
その他、120m€で買ったグリーズマンを22m€で売却したり、135m€で買ったデンベレを50m€で売却といった感じの下手くそっぷりを発揮しております…。これがバルセロナの財務状況が悪化している大きな理由の1つです。
原因② 年俸の設定がめちゃくちゃ下手
こちらは23/24シーズンの5大リーグ(プレミアリーグ(イングランド)、ラリーガ(スペイン)、セリエA(イタリア)、ブンデスリーガ(ドイツ)、リーグ1(フランス))に所属しているクラブの年俸総額ランキングTOP10です。
リーグ | チーム名 | 総年俸(m€) |
---|---|---|
リーグ1 | パリ・サンジェルマンFC | 351 |
ラリーガ | レアル・マドリード | 299 |
プレミアリーグ | マンチェスター・シティFC | 263 |
ブンデスリーガ | FCバイエルン・ミュンヘン | 259 |
プレミアリーグ | マンチェスター・ユナイテッドFC | 247 |
ラリーガ | FCバルセロナ | 234 |
プレミアリーグ | アーセナルFC | 209 |
ラリーガ | アトレティコ・マドリード | 168 |
プレミアリーグ | リヴァプールFC | 161 |
プレミアリーグ | チェルシーFC | 160 |
パリ・サンジェルマンって圧倒的なんだなーとか、プレミアリーグってやっぱり金もってるんだなー、逆にセリエAはほんとにお金ないんだなーとかいろいろこのデータをまとめてみて思いましたが、今回のメインテーマのバルセロナは第6位の年俸を負担しています。が、これは23/24シーズンの話です。
バルセロナは17年11月に当時の大エースだったメッシと21年までの契約延長を結びましたが、その時のメッシの年俸は驚愕の139m€!!アストン・ヴィラの23/24のチーム年俸の総額は135m€なので、メッシ一人の給与がいかに異常かというのがわかるかと思います(笑)。
このような異常な契約になってしまった理由として報道されているのも、バルセロナの元会長であるバルトメウ氏です。
ネット界隈では「のび太」というあだ名で呼ばれていたバルトメウ氏。自分自身でも呼ばれても構わないと発言しておりある種公認だったのですが、メッシというドラえもんに頼り続けたバルトメウ氏は報道によると、とにかくYESマンであり、交渉力やマネジメント能力はイマイチだったらしいです。
有名なエピソードとしてはジャラール・ピケと契約を更新する際に、ピケはメディアの前でシティへの移籍話をちらつかせてきたため、ほぼピケの言い値であった5.8m€→14.4m€に大幅アップさせたり、グリーズマンやデ・ヨングとの交渉も自分で行い、YESマンを発動させたことで相場よりも高額な年俸になったと報道されています。
そんなYESマンがメッシの年俸を抑えるわけはなく、バルセロナの売上の約30%に相当する139m€という大型契約を締結したバルトメウ氏は「メッシの年俸を稼ぐのが私の仕事」という旨の発言をするなど、会長としての威厳はほとんどない状態。まぁメッシというドラえもんが活躍して国内リーグ、チャンピオンズリーグで結果を残し続けていれば、ここまで凋落しなかったのかもしれませんが、運悪く新型コロナによるパンデミックが発生…。これによって収入が大きく減少してしまい、2020年に130億円の赤字が発生。そして、バルトメウ氏は「バルサゲート事件」が発覚した後、会長を辞任し、逮捕されてしまいます…。
※「バルサゲート事件」とはバルトメウ氏が会長だった当時、SNS上で元選手や現役選手、会長候補などをおとしめるため、第三者の企業に金銭を支払っていたという疑惑のこと。
メッシとまさに心中した形となってしまったバルセロナ…。ライバルのレアルマドリードは年俸はしっかりと管理している印象があり、あのクリスティアーノ・ロナウドでも25m€にとどめていたはずなので、バルセロナには経営視点が足りなかったのかもしれません…。クラブを超える存在はメッシと言えども、認めてはいけなかったのでしょう…。
さいごに
バルセロナの財政状況が悪化した主な原因である①選手の売買がめちゃくちゃ下手、②年俸の設定がめちゃくちゃ下手という点をまとめさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
バルセロナにはカンテラという優秀な若手育成組織があるのが強みだと思うので、もう数シーズンは移籍マーケットで選手に手を出さず頑張ったほうがラ・リーガ特有のサラリーキャップ制度的にも良いと思っているのですが、ビッククラブ故に選手を獲得し続けなければファンは納得しないんですかね…。
サラリーキャップ制度とはラ・リーガ特有のシステムで、「売上」-「スポーツ以外の支出」-「借金返済額」=「サラリーキャップ」で算出。この結果、売上が上がらない限り、選手の獲得費用を捻出することができなくなっています。
一方、永遠のライバルであり、バルセロナのように経営状況が不安定ではない圧倒的王者のレアルマドリードですが、獲得濃厚なフランスの絶対エース、エンバベは130m€をパリ・サンジェルマンからもらっている様子。
現在、レアルマドリードで最も年俸をもらっているのは、ベンリガムとヴィニシウスがそれぞれ25m€という状況なので、エンバベを獲得することによって、チームの財務状況だけでなく、組織のパワーバランスを崩壊させてしまう恐れもあるのではないかと妄想しております。
ただ、ラ・リーガ2強がともに財務状況で苦しんでいる姿は見たくないですし、やっぱりバチバチにやりあってたときのエル・クラシコが大好きだったので、レアルマドリードは健全経営で理不尽な強さを維持してほしいですし、バルセロナにはピッチの話題がメインとなる日々を取り戻してほしいと思います…。
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