いよいよ25-26シーズンに向けた夏の移籍マーケットが開幕するときが迫っておりますが、2025年の冬の移籍マーケット、セリエAで一番お金を使ったクラブはどこでしょうか?
24-25シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)の決勝に進んだインテルでしょうか?
それともリーグ戦を巻き返すべくパリ・サンジェルマンからムアニやチェルシーからヴェイガといった選手を補強したユベントスでしょうか?
もしくは同じく再起に燃えてフェイエノールトから3200万€でヒメネスを獲得したミランでしょうか?
いいえ、実はどこも違います!!正解は24-25シーズンに昇格したばかりの地方都市の中小クラブの1つであるコモ1907です!その額4920万ユーロ!!でわずかにミランの4850万ユーロを上回っています!!
なぜ中小クラブが、なんなら一度財政破綻の経験もあるコモ1907がこのように金を使うことができたのか?をクラブの歴史も含めて今回まとめてみましたので興味ある方はぜひ最後まで読んでください!!
コモ1907の歴史とは?
コモ1907はイタリアのロンバルディア州のコモを本拠地としているサッカークラブです。ちなみにコモの位置はGoogleマップ先生によると以下の写真の通りで、イタリアの北部に位置しており、コモ湖が観光地として有名で、コモ湖の周辺には世界各国の著名人の別荘がたくさんあるとかないとか。

創設はクラブ名にもある1907年で、初期は地域リーグや下部リーグを中心に活動していたのですが、1949-50年シーズンに初めてセリエAへの昇格を勝ち取ったものの、1年で降格してしまったそうです(涙)。そして1960年代~80年代はセリエAとセリエB(イタリアの2部)を行ったり来たりする「エレベータークラブ」としての地位を確立。ただ1980年代は複数年セリエAに残留した実績もあり、中堅クラブになろうとしていた瞬間もあったみたいです。
1994年にはかつてイタリア代表で2006年のワールドカップを制覇したジャンルカ・ザンブロッタがプロデビューも飾ったこともあり、それなりに存在感があったクラブっぽいのですが、2002年にセリエAに昇格したもののすぐに降格、セリエBに踏みとどまりたかったものの、あれよあれよと降格し続けてしまい、2005年には財政破綻に陥ってしまい、プロリーグから除外をされてしまいます。
アマチュアクラブとして再始動し、地道な努力によって着々と昇格を重ねて、2017年にはプロの最低カテゴリーであるセリエCに昇格したコモでしたが、2019年に転機が訪れます。それはインドネシア3大財閥の1つである「ジャルム」グループを率いるハルトノ家が経営権を取得したことです。
ハルトノ家が経営権を取得した背景
コモの経営権を取得したのは、厳密に言うとジャルムグループの傘下の英国企業であるSENTエンターテインメントなんですけど、クラブの経営を操っているのは、インドネシア一番の富豪のハルトノ兄弟で、弟のロバート氏はコモの会長をしています。ちなみにハルトノ兄弟の資産はForbesの億万長者ランキングTOP100に入る約480ドル(約7兆5000億円)と言われております(1%でいいから下さい…)。
もともとSENTエンターテインメントがサッカーを題材にしたドキュメンタリー番組を作成しようとしていてコモに目を付けていたのがきっかけらしいですが、クラブに対する投資は本気そのもので、まずはクラブのインフラの整備から着手し、新トレーニングセンターを300万ユーロで建設、本拠地の芝の張替え、オフィシャルストアをコモ市内で一番重要な教会付近に建てるなど、まずはクラブの地盤を固めていったそうです。
ビッククラブだったのにも関わらず、現在低迷期を過ごしているどこかの赤いチームはクラブのトレーニング施設が古すぎると言われたり、本拠地が雨漏りしていたりと、クラブには投資せず、ビジネスに重きを置き過ぎた感があって悲しい感じになっているので、まずクラブのインフラ整備にお金を使うというのは、サッカーに対する誠実さを感じざるを得ません(笑)。
クラブ公式代表のスワルソ氏はインタビューにてクラブの経営について以下の発言をしています。
コモの人口は8万5000人に過ぎず、サッカーだけで経営を維持するのは非常に困難だ。しかし幸運なことに我々には『コモ湖』という世界的な観光ブランドがある。この地域には毎年480万人もの観光客が訪れる。これを活用しない手はない。サッカーをビジネスの中心ではなく構成要素のひとつとして位置付け、サッカーを使って知名度を上げる一方で、コモ湖の観光と結びつけることで独自の価値を生み出し、『コモ』を国際的なブランドに育てるのが目標だ。このビジネスモデルをディズニーに似たものとして考えている
https://news.yahoo.co.jp/articles/f21b34f3866bc4ccb6e3f1f26f55dfdeeccb8718?page=1
というわけで、サッカーを活用しつつ、コモそのものを国際的なブランドに育てることを野望として持っているみたいですが、このプロジェクトの中核をなしているのはやっぱりサッカー部門であり、選手獲得にも積極的にお金を使っています。それでは、ハルトノ家が経営権を取得した後、どのような選手を獲得していったのでしょうか?
コモが獲得した選手について
ハルトノ家が経営権を取得してから一発目に世界を驚かせた補強は、間違いなくセスク・ファブレガスの獲得だと個人的に思っています(異論は認めます笑)。
アーセナル、バルセロナ、チェルシーで様々なタイトルを獲得した後、モナコに移籍(税金対策だと思っている)したセスクがコモに移籍するというニュースを見たときの私の印象としては「え?なんで?」でした(笑)。セスクはキャリアの晩年だったとはいえ、縁もゆかりもないセリエBの名の知れていないクラブに移籍する意味が不明でしたが、入団会見でセスクは以下のコメントを残しています。
このクラブをセリエAに導くために私はやってきた。コモは長期に渡るプロジェクトを持っており、それはまさに自分が欲していたものだ。いつか監督になって経験を積むつもりだ。そしてクラブの経営に参画し、契約を結んだ2年以上は残りたいと思っている。クラブのプロジェクトを魅力に感じている。このチャンスを活かしたい。
https://www.footballchannel.jp/2024/08/20/post603337/3/
このコメントは当時、私も読んでいた記憶があるのですが、「まぁどうせリップサービスでしょ?」とうがった見方をしていましたが、結果的にすべてその通りになっていて、人を動かすのにプロジェクトって大事なんだなって痛感しました(笑)。
22/23シーズンのセスクはセリエBで正直そこまで良い成績は残すことはできず(17試合出場でアシスト2のみ)、23年7月で現役生活に終止符を打ち、コモの下部組織(通っぽい感じを出すのであればプリマベーラ)を指揮し始めて、指揮官としてのキャリアをスタートさせますが、コモの経営陣はここで大博打に出ます。それは当時の監督だったロンゴ監督を電撃解任し、プロライセンスを取得していないセスクを内部昇格させるという驚きの人事を行います。
監督キャリア1年未満のセスクを実質監督として起用するという賭けに出たわけですが、結果的にこれが成功。セリエB1位での昇格には至りませんでしたが、なんとか2位で昇格することに成功。そして、セスクは少数株主としてコモに出資もしております。というわけで、入団会見のコメントをほぼ有言実行した漢セスク・ファブレガス…。アーセナル史上2番目の若さでキャプテンを託された漢は伊達じゃないということでしょうね…。
一番派手な補強はセスクだったと思いますが、同時期に獲得したクトローネも昇格したシーズンは大活躍を披露しています。クトローネはセスクとはうって変わって苦労人で、デビューしたての時はドンナルンマ(現:パリサンジェルマン)と共にミランを率いていく選手だと思っておりましたが、なかなか安定した活躍を披露することができず、プレミアリーグのウルヴスに移籍してもパッとせず、ここからフィオレンティーナ、バレンシア、エンポリとレンタル生活をしておりましたが、地元クラブのコモに2022年に加入。
地域に根付くクラブ運営を行っていくためには地元出身の選手は不可欠なので、このクトローネの補強も絶妙だったと思います。結果論ではありますが、クロトーネは23/24シーズンのセリエBの最優秀選手にも選出されており、才能はありながらもくすぶっていた選手をしっかりと補強できたのは流石の一言です。
そして、セリエAに昇格を果たした24/25シーズンの目玉補強はマンチェスターユナイテッドから退団していたフランス代表のヴァラン。怪我に悩まされていたとはいえ、当時31歳だったヴァランがコモを移籍先に決めたというニュースは私だけでなく全世界のサッカーファンがびっくりしたと思います。私の感覚としてはビッククラブとして歩み始めたマンチェスターシティがレアルマドリードからロビーニョを獲得したときの衝撃と似ていました。
結果的に怪我の影響でシーズン途中でヴァランは引退してしまいますが、入団会見では以下のコメントの残しています。
世界レベルのプロジェクトに心を打たれ、そして、ファブレガス監督によって心を動かされた。とりわけ、交渉で問題になったことはなく、サッカーについて話し合い、監督のサッカー哲学に感銘を受けた。監督とは共通の考えを抱いている
https://www.footballchannel.jp/2024/08/20/post603337/5/
なんと前向きなコメントなのでしょうか…。このコメントの裏付けではないですが、結局けがで引退した後、ヴァランはコモの取締役として参画しており、やっぱり本気でビッククラブを目指しているんだろうなということがこのヴァランの動きからも推測できますね。
そして個人的にコモの移籍市場の戦略でポイントが高いのは、ミーハーな補強だけではなく、チームのバランスを考慮してベテランを補強したり、中堅どころを補強している点です。ヨーロッパで経験豊富な元スペイン代表のペペ・レイナ、アルベルト・モレノ・ペレスといったベテラン勢を獲得(セスクパワーもあるのかもしれません。)
ベテランだけではなく、リヨンからはカクレ、セルタからドゥヴィカスといった、ある程度計算できるスター選手ではない20代中盤の選手もしっかり補強し、加えてデレ・アリという、かつては世界最高の攻撃的MFになると言われていた選手を獲得するという博打もしている点も渋いなーと思っております。(今のところ博打は失敗してる感がありますが…笑)
最後に
24/25シーズンは余裕のセリエA残留という結果を残しているコモですが、クラブとしてはヨーロッパの大会に出ることを目標にしているはずなので、25/26シーズンの移籍マーケットでも精力的に動くコモから目が離せません!!
コモの躍進を支えている監督のセスクは、レアルマドリードに監督のシャビアロンソが引っこ抜かれそうになっているレバークーゼンが狙われているという報道がありましたが、ロマーノさんによるとコモに残留することが濃厚。コモのプロジェクトはそのまま継続しそうですね。
マンチェスター・シティは新オーナーになってリーグを獲るまでに約4年かかっておりますので、コモが25/26シーズンタイトルを獲れるイメージはあんまり湧きませんが、直近のセリエAはかつてのユヴェントス、インテル、ミランの3強時代ではないですし、プレミアリーグよりかは早くタイトルを獲れる可能性もあるかも…?
成金クラブがタイトルを獲るということは賛否両論あるかと思いますが、いちサッカーファンとしては強いチームが増えて、強いチーム同士の戦いが増えること自体は良いことだと個人的には思っております!!
25/26シーズン以降、コモがプロジェクト通りセリエAを席巻することができるのか?ビッククラブの仲間入りを果たすのか?楽しみに追っていきたいと思います!
そんなコモが所属するセリエAを視聴できるのは現在DAZNだけになっております…。対応がイマイチだったり、DAZNに対して思うことは正直ありますが(汗)、セリエAだけでなく、Jリーグ、スペインリーグ、フランスリーグ、ポルトガルリーグといった他の国のサッカーの試合を視聴することができますので、海外サッカーにご興味ある方はぜひこの機会に登録してみてください!!
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